レーシックを受けてきました

少し前の話になりますが、西川はレーシック手術を受けてきました。レーシックとは、患者の角膜に対しレーザを照射し、角膜の形状を変化させ患者の視力を回復させるものです。実際、西川の両眼視力は0.05から1.5に回復しました。

西川は本稿を以て近視の読者の方々に対し手術を薦めるものではありませんが、いずれ斯界の方がレーシックにご興味を持たないとも限らないので、参考の為に顛末を記録しておくことにしました。ただし、本稿は特定の団体に対し何らかの便宜を図るものではありませんし、西川の所属する組織、団体とも本稿は一切無関係であります。また、万が一本稿をお読みになった方がレーシック手術を受けた結果、感染症等を引き起こすなど不利益被られたとしても、西川は一切責任を負うものではありません。

1. 動機
レーシック手術を受ける動機は2つありました。レーシックをしない場合のコストと、リスクです。

1.1 レーシックをしない場合のコスト
西川は眼鏡とソフトコンタクトレンズを併用していますが、このコストが馬鹿になりません。西川が受けたレーシック手術の費用は概ね25万円です。西川が使用しているワンデーのソフトコンタクトレンズは片目用30枚入りで約3500円です。西川のライフスタイルに合わせ、週末に2回使うと仮定し、28歳から40歳(40歳以降はいずれにせよ老眼になると仮定)まで利用し続けるとすると、(((40-28)*52*2)/30)*3500*2=29万円強となります。もちろんレーシック、ソフトコンタクトレンズ共にここに述べた以外の出費を必要とするでしょうが、少なくとも視力を低コストで維持するという点ではレーシックに軍配が上がりそうです。また、西川はソフトコンタクトレンズとは別に別途眼鏡を買い求めることもあるため、コストの差は圧倒的となります。

1.2 レーシックをしない場合のリスク
コストも重要ではありますが、西川に今回レーシック手術を決意させた最大の理由は東日本大震災でした。眼鏡やコンタクトレンズを日常生活に必要とする近視者は、災害時において圧倒的に不利な立場に立たされます。危険に囲まれた事態において十分な視力がないということは大変なリスクです。

2. 病院
さて、レーシックを受けるとなると病院を探さなければなりませんでした。幸いなことに、西川が普段からかかっている美容師さんが以前神奈川アイクリニックレーシック手術を受けていたため、彼の紹介を受けることができました。本来ならば広範な候補を比較検討するべきなのでしょうが、彼とは付き合いも長く信頼もあり、以前より彼からレーシック手術を薦められていたこともあり、神奈川アイクリニックに決めました。

2.1 初診
電話にて初診の予約を取りました。予約した日に新宿に向かうと、まずアンケートに記入させられます。なかなかボリュームがありますが、このアンケートが重要で、アンケートの内容によって後の手術の術式が決まります。アンケートの記入が終わった後には、各種検査があり、裸眼視力等を計測します。相当数の検査装置をたらい回しにされ、素人にはイマイチ一体それぞれ何を計測しているのかよくわかりませんが、計測項目は相当数に上ります。

2.2 術式
アンケートと検査結果を伴って、いよいよ医師との面談となります。この医師との面談によって術式が決定されることになるのですが、西川の場合は至って単純な理由で術式が決定されました。西川はある種の格闘技を嗜むため、そのような眼球に強い衝撃を受ける可能性がある場合はエピレーシックなる術式一択となるようです。

レーシックの基本的な手法は、角膜の表層にフラップと呼ばれる薄い膜を作り、それを一時的に開くことにより、その奥にある角膜実質層(角膜の中でも視力に対して大きな影響を与える層と思われる)に対しレーザを照射、当該層を変形させ視力を回復させるというものです。フラップは術後閉じられ(フラップは角膜実質層を蓋のように覆います)、時間の経過と共に自然に角膜実質層と癒着するそうなのですが、眼球に大きな衝撃を受けた場合稀にこのフラップがずれる場合があるらしく、激しいスポーツ、特に格闘技の類を嗜む方にはこの術式は推奨できないようです。

さて、そのような場合はフラップを作らない、前述のエピレーシックなる術式の出番となります。この手法は角膜上皮層と呼ばれる角膜の一番表層の部分をエピケラトームと呼ばれる薄い刃で削り、これによってフラップを作らずに角膜実質層を露出させ、そこにレーザを照射します。この方法はフラップを作らないため眼球に対する衝撃に強いというメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。デメリットについては後述します。

術式が決まったのちは、手術日を決めることになります。西川は2011年4月21日にクリニックに初診として訪れ上述のアンケートへの回答、検査、術式の決定を行った後、一週間後の4月28日を出術日として予約しました。これはレーシック手術後は数日安静期間が不可欠で通勤などが不可能となるため、その期間をゴールデンウィークに充てようとの意図がありました。また、手術当日および手術から数日間は必ず経過を見せに通院しなければならないのですが、その際に安全上の理由から付添人が必要となるため、家族が休暇に入っているこの時期は好都合でした。

3. 手術
手術当日は仕事が休みであった妹に同行してもらいました。訪問後、まず簡単な検査を受けたのち、医師の診察を受けます。その後しばらく手術室前室のような部屋で待たされたのち、いよいよ手術です。

手術そのものは片目5分程度、両目を合わせても手術室に入ってから出るまで10分程度の簡単なものです。椅子の上に仰向けに寝かせられ、眼球に麻酔をかけたのち開瞼器を用いて瞬きが起こらないようにします。次はいよいよ上述のエピケラトームの登場です。麻酔がかかっているため痛みらしい痛みはないものの、謎の機械器具が突然視界に現れ、甲高い機械音と共に視界を横断していく映像は心胆寒からしめるものがあります。エピケラトームによって角膜上皮層を削った後はエキシマレーザの出番となり、眼球にレーザが照射されます。寝台の上で医師の指示通り正面に浮かぶ青い光を見つめるのですが、眼球に軽い衝撃があります。これがレーザが角膜を変形させている力なのでしょう。

さて、我々人間には通常眼球が2つあるため、同じことを2回繰り返すことなります。これが実に恐ろしいのです。一度目は何が何やら訳の解らぬまま終わるわけですが、もう一方の目の手術を行う際にはこれから行われることが解っているわけで、再びやってくる恐怖体験に怯えることになります。

4. 術後
さて、エピレーシックはフラップを作らないと上で書きました。これはどういうことでしょうか。エピレーシックはフラップを作るのではなく、眼球の表面を削るのです。手足の薄皮の一部が剥がされた状態を想像してください。それと同様のことを眼球表面で行うわけです。痛みの程度は人それぞれのようですが、僅かとはいえ身体の一部を削り取るのですから、痛みを伴います。西川は手術直後から強烈な痛みに襲われ、すぐに鎮痛剤のお世話になりました。

術後の患者がしばらく休息を取る部屋が用意されており、術後の患者はしばらくそこで休み、痛みがある程度落ち着いたのち、眼球を保護するための眼鏡をかけ帰宅することになります。眼鏡をかけても、手術直後はろくに目を開けていられない状態であるため、付き添いが必要になります。病院を訪問してから出るまで、時間としては概ね二時間程度だったと思います。

その日はもちろんそのまま帰宅し、翌朝まで熟睡しました。手術後3日間は経過観察の為通院しなければならないため、翌29日、30日、5月1日と連続で通院しました。ゴールデンウィーク期間中でしたので、主に妹に付き添いをお願いしました。痛みについては、西川の場合は鎮痛剤を飲んだにもかかわらずある程度強い痛みが2日程度持続しましたが、3日目には概ね収まりました。通院の度に検査を実施するのですが、比較的早い段階で両眼視力が1.0を越え、約1ヶ月後の検査では1.5に到達しました。

5. 感想
今となってみればもっと早く受けておけば良かったと思います。実際、裸眼視力が高く保たれている状態というのは実に快適なものです。1節に書こうか少々悩みましたが、感染症等、レーシックには確かにリスクがあります。まだ若い技術故の恐ろしさもあるでしょう。ただ、個人的にはレーシックはメリットがデメリットを十分上回った技術の一つだと結論し、実際に手術を受けました。